ゲームライターになるには?「ゲーム攻略ライター」とは異なる「ゲームライターのお仕事術」【随時加筆】




雑誌がメインだった時代とは異なり、お手軽にオウンドメディアなどが起ち上げられるような時代になり、それに伴い募集されるライターの条件もどんどん引き下げられてきました。アルバイト情報サイトやクラウドソーシングなどをのぞくと、時給○○円や1文字○円といった単価の仕事を多数見つけることができます。この「ゲーム」に絞ってみても、その多くはPVが最も稼ぎやすい「ゲーム攻略ライター」の募集が多くなっています。

たしかにそれらはある種の実績にもなるかもしれませんが、本当に一生食べていけるようなスキルとなるのでしょうか?

筆者は1994年にPCゲーム雑誌の編集部に入社し、5年の経験のあとフリーで活動。その後、ウェブやモバイル、スマートフォンなど様々なメディアの企画・運用に携わってきました。そこで一貫して役にたっているスキルは、編集者時代に学んだライティングや取材などの技術です。メディアは紙からウェブ、スマホとどんどん時代によって移り変わってきますが、「コンテンツを作る」という点では基本的に違いはあまりありません。また「ライティング」というスキルも、一生使えるものです。実際、フリーライターとして3年程前に15年ぶりに復帰しましたが、それでも仕事を取ってお金を稼ぐことができています。

こちらでは、「ゲームライター」を例に、どんな仕事をしているのか? というのをご紹介していきたいと思います。

「ゲームライター」の主なお仕事

「ゲームライター」とひと言でいっても、最近はひとりでやらなければいけない場面も多く、その内容は以外と多岐にわたります。ここではウェブメディア系でお仕事を中心に、どんなことをやっているのかといのをご紹介していきたいと思います。

イベント・発表会取材

はじめに

「ニュース」とひとことで言っても、リリースをリライトして配信するものや独自で企画したものなどさまざまな種類があります。その中でも、主に外に出かけて写真や情報などを集めて作る記事を「取材(しゅざい)」と読んでいます。

現在は、ニコニコ生放送での中継やその他メディアなどからこれらの情報自体はどこにいても簡単に手に入るようになってきています。メディアとしての「取材」の重要性としては、その場に実際に行って独自の素材を集めて独自の視点で作成された記事を作ることにあります。

それにより、他のメディアとの差別化がはかれるだけではなく、独自メディアとしての地位を確立していけるようになります。

取材時の必須アイテム

取材に行く際に、最低限必要となるのは以下の3つです。
・名刺
・カメラ(一眼やミラーレスなど)
・ICレコーダー(スマホのボイスレコーダー)

名刺

取材の規模にもよりますが、「名刺」は複数枚必要になる場合もあるので、最低でも10~20枚程度は持ち合わせておきましょう。

カメラ

「カメラ」ですが、基本は一眼レフやミラーレスなどシャッタースピードがある程度速いものを使用しましょう。ステージ取材などでは、人をメインに撮影することが多くなりますが、思っている以上に人間は動き回っているため、ある程度シャッタースピードが速くないと被写体ブレの写真が多くなり使える写真の数が限られてしまうからです。

最近のスマートフォンはカメラ性能が上がってきたとはいえ、能力的にはまだまだです。また、コンパクトデジタルカメラも、同様に被写体ブレの写真が多くなることがありますので、おすすめしません。ただし、スライドの撮影など静止しているものについてはコンデジなどを併用して使った方が便利な場合もあります。

ちなみに、ひとつの写真で撮影する枚数は、1時間程度のイベントで200~400枚程度になります。写真の撮影フォーマットはJPGではなくRAWで撮影しておくと、あとで『Lightroom』等のソフトウェアで露出やレンズのゆがみなどの編集が簡単に行うことができます。


▲一眼レフカメラの場合、レンズは広角からズームまで対応できるものが1本あると便利です。

ICレコーダー

取材で抑えておく必要がある素材は、写真などの絵のほか、あとで記事を書くときの参考になる音の素材です。昔ながらの記者はその場で書き留めたメモだけで記事を作成していました。しかしながら人間の記憶力は曖昧なため、メモだけでは本当にそんなニュアンスのことをいっていたのか後で確かめることができません。そこで利用するのが「ICレコーダー」です。

ICレコーダーが無い場合は、スマートフォンの「ボイスメモ」等のアプリでも代用は可能です。総合的な利便性を考えると、ICレコーダーが若干便利といった感じです。ICレコーダーの種類によってはUSBを本体に備えており、そのままPC等に接続することで音を専用のソフトに取り込めるだけでは無く充電も出来るようになっています。

専用ソフトは倍速再生や数秒単位での早送り・巻き戻しなども行えるようになっているため、文字を書き起こすときなどにも役立ちます。それらを覗けば、iPhoneとiTunesを活用した場合との差はあまりありません。

保険的にICレコーダーとスマートフォンの両方で録音しておくことで、音の撮りミスなどを防ぐことができます。


▲USBでPCと接続&充電可能。専用ソフトウェアで変速再生や数秒単位での巻戻・早送ができるものもあります。

あった方がいいアイテムやサービス

実際は、取材で撮影した写真を見ながら録音した音を聞きつつ、記事を作っていくことが多くなると思います。それぞれが分離しているのは若干めんどうに感じる場合は、併せてムービーなどを録画しておくと便利です。ムービーは音と絵が同時に見られるため、簡単に確認ができるからです。

最近はアクションカメラが各社から多数登場してきていますので、これらを活用するのもひとつの手です。

最近のイベントや発表会はニコニコ生放送で中継されることが多くなってきています。有料会員ではなくとも、あらかじめタイムシフトの予約をしておくことで、あとで中継を再生しながら、それを参考に記事を書くことができます。

このように、使える道具やサービスはどんどん活用していきましょう。


▲保険でニコニコ生放送のタイムシフト予約をしておくと、記事作成時に役に立つことがあります。

また、取材に出かける時間や乗り換え、取材先の場所などの情報を前日までにまとめておくと、当日混乱することなくスムーズにでかけることができます。


▲前日までにEvernote等に乗り換え案内や地図、イベントの時間帯などの情報をまとめておくと便利です。

取材の種類

取材はいくつかのパターンがあります。ここではその種類を紹介していきます。

メーカー主催の発表会

メーカーが新製品の発表をマスコミ各社を集めて行うイベントです。特定の会場を貸し切って行われるものや、舞台などのイベントにからめたものなどがあります。

メーカー主催のイベント

新製品発表会とは別に、発売記念で「メディア対抗ゲーム大会」や「ユーザー参加型のゲーム大会」などが行われる場合があります。

メーカーが出展しているイベントのステージレポート

「東京ゲームショウ」など、大きなイベントにメーカーが出展。そこで行われるステージイベントの模様を取材します。

インタビュー

メーカー手動でインタビューの場が設けられる場合の他、こちらから企画してインタビューの申し込みを行うものなどがあります。

メーカー主催の発表会

ゲームメーカーなどが新作タイトルの発売・リリースに先駆けて行う、メディア向けのイベントです。ほとんどの場合、プレスリリース同様に案内状がメールなどで届きます。

案内状の多くは、返信が必要なものがほとんどです。紙やウェブメディアの場合は、カメラの部分は基本的に「スチール」を選ぶようにしてください。

発表会場での注意点

発表会の会場には、早めに付くようにします。通常、実際に発表会がスタートするよりも30分ほど前から受付が開始されますが、それよりも前に各メディアが並んでいるためです。
早く行って並ぶことの最大のメリットは、場所取りにあります。可能な限り前の席を取ることで、人の頭などが映り込まない写真を撮影できるようになります。

●発表会では取材に関する注意事項が書かれた書類を渡されることがあります。必ず目を通してから取材をしましょう。
●登壇者に関する表記や、撮影および報道不可の部分を確認しましょう。
●発表会によっては、情報解禁日が設定されている場合があります。基本的に、それ以前に報道することはできません。

発表会での取材ポイント

発表会などのイベントがスタートしたら、以下の点をポイントに取材をしていきましょう。

①ICレコーダーでの録音の開始
すべての音を撮っておくために、すぐに録音を開始します。レコーダーとは別にスマホで予備の録音をしておくとベターです。

②登壇者と登壇者名のスライドを撮影しておく
登壇者の撮影はもちろんですが、たいていの場合登壇者の名前が画面に表示されますのでそれも押さえておきます。たとえば登壇者が外人の場合、音声だけの素材では正確な表記がわからない場合があるからです。
また、役職名などもこれらの絵を押さえておくことで確認することができます。


▲名前も記事を書くときの参考資料として必ず撮影しておきます。


▲登壇者も当然撮影。基本は笑顔の写真を選ぶようにしましょう。

③スライドに表示されるものはすべて撮影
スライドに表示されるものはすべて撮影しておきます。別途資料でスライドの画像が入手出来る場合もありますが、スライドの画像を記事中に埋め込むことで、取材に行った感が出るためです。


▲スライドは動画も含めてすべて写真で絵を抑えておきましょう。素材として使うだけではなく、記事作成時にも参考になります。

④余裕があれば記事を作成
情報解禁日や時間が指定してある場合は不可能ですが、ネットメディアの場合、いかに情報を早く発信できるかも重要となってきます。
基本はひとりで取材する場合が多いため、ほとんどカメラの撮影で余裕がありませんが、ふたりで取材に来ている場合などはもうひとりが記事を作成しサイトにアップしていくのもひとつの手です。

⑤フォトセッション
発表会本編とは別に、登壇者のフォトセッションが用意されている場合があります。左右、中央などの位置別に行われることがほとんどです。
このときに、極力目線がもらえるように「こちらもお願いしま~す!」と挙手しましょう。笑顔が足りないと思ったときは、「笑顔でお願いします」といいます。2~3枚ほど撮影できたら「ありがとうございます」といって、ほかのメディアにゆずりましょう。


▲フォトセッションでは声をかけて目線をもらい、何枚か抑えておきましょう。

⑥囲み取材
本編、フォトセッションが終わった後に、さらに囲み取材の機会が設けられている場合があります。この囲み取材とは、発表会の中ではいまいちはっきりしなかったポイントや疑問、情報として不足している部分を補うために行われるものです。
囲み取材では基本は写真は撮影しません。大勢のメディアの記者が取り囲むことが多いため、ICレコーダーを相手の声が取れるように手を伸ばしながら録音することが多くなります。


▲おおむねこういったスタイルで行われることの多い、囲み取材。

⑦メディアキットの確認
全ての取材が終わり、帰り際におみやげとともにメディアキットが渡されることがあります。このメディアキットには、この発表会の資料や画像などが含まれているものがほとんどです。
ダウンロードの場合はURLが書かれた紙、その他CD-RやUSBメモリー等でもらえる場合もあります。
これらがしっかりと含まれているか、あるいは帰る際にもらい忘れていないか確認しましょう。

ショウでの取材ポイント

基本は発表会での取材と変わりませんが、『ゲームショウ』などの複数のゲームメーカーが出展している大きなイベントでは、若干注意が必要な部分があります。

①プレスパスをもらう
まずはじめにプレスの受付に赴き、名刺を渡してプレスパスをもらいましょう。ショウによっては、事前登録をしていないとこのパスがもらえずプレスとして取材が出来ない場合があります。

②ステージイベントの時間の確認
ステージイベントの取材を行う場合は、あらかじめ時間を確認しておきます。さらに、各メーカーのブースの受付でプレスの登録をし、ステッカーを目立つ位置に張っておかないと取材が出来ない場合があるため、あらかじめ早めにイベントブースに移動して確認しましょう。


③一般客の顔は基本的には写さない

ゲームのイベントの出演者などをのぞき、一般のお客さんの顔は基本的には写真に載せるのはNGです。顔が写ってしまっている写真を使いたいときは、モザイクやぼかしなどを入れて判別できないようにしておきましょう。


▲顔が写っているお客さんは、モザイク等でぼかしを入れましょう。

④声優はアップで撮影不可の場合が多い
イベント開始前に各メーカーブースでもらえる取材の注意事項が書かれた紙にも記載されていることが多いですが、おおむね声優がゲストで登壇する場合はアップの写真は不可で、引きの集合写真のみ使用可能になっていることがほとんどです。

インタビューの取材ポイント

様々な取材があるなかで、唯一事前に準備が必要になるのがインタビューです。

①インタビュー内容を考える
あらかじめインタビューするテーマや内容を考えておきましょう。インタビュー形式の原稿は、通常の記事よりも文字量が多くなるためすごい数の質問を用意する必要はありません。おおむね10~20程度の間で考えておけばOKです。

②その場で思いついた質問も織り交ぜる
いろんな話を聞いているうちに、ふと質問を思いつくことがあります。それらもインタビューの時に聞いてみましょう。あらかじめ質問内容を相手に提出しているときでも、流れによっては質問を混ぜます。


▲インタビュー相手の写真の撮影もお忘れなく。他にカメラマンがいない場合、自分で撮影することになるため、インタビュー終了後、話している風の絵を抑えるために雑談をすることもあります。取材開始前に、インタビュー後に撮影を行うという旨を伝えておきましょう。

③記事チェックが必要になる場合もある
インタビュー記事は、基本的にはメーカーチェックが必要な場合がほとんどです。が、こちらからはそれをうながすような発言はせず、先方に言われたら対応するといったスタンスをとりましょう。
記事の訂正は、基本的には先方の要望通りに修正して掲載します。

ニュースのリライト

ここ最近増えてきている仕事のひとつに、「ニュースのリライト」があります。基本的にメディアは、毎日最新のニュースを配信していますが、それらの大元となっているのはメーカーが発行しているプレスリリースです。このプレスリリースを元に、各メディアの記載ルールやトン・マナなどを合わせたり、あるいは情報を咀嚼して紹介していきます。

ゲームレビュー(ソフト&ハード)

取材やリライトは「ニュース」というジャンルに分類できますが、それとは異なる読み物系記事として作成されるのが「レビュー」です。これは「ゲーム」だけではなく、たとえばコントローラーのような周辺機器などを取り扱うこともありますが、基本的には「どのような特徴を持っていて、どんなところが魅力なのか」を伝えることがメインです。

素人とプロが作るレビューで大きく違うところは、「ダメなところをあげつらって、得意げになる」というような記事は作らないということです。基本的にメディアの持つ使命は「その業界を盛り上げること」にあります。ただ、それを勘違いして悪い部分ばかりをピックアップしてその製品に魅力を感じるという人はほとんどいないでしょう。

感情が伝わるような記事が書ければベスト

他の人の書いた記事についつい夢中になり、自分でもやってみたくなったと感じたことはありませんか? きっとその記事には、書き手の情熱や感情などが文章に込められており、それが読み手にも伝染したためそう感じたのでしょう。これはなにも大仰なタイトルや、やたら引きだけが強い文章を書けという話ではありません。レビューはたんにその機能だけを紹介していくと、一歩間違えればマニュアルと差がないものになってしまいます。できるだけ、どこがすごかったのか? や、自分がどう感じたのかといった感情が伝わる部分を織り交ぜてあげましょう。

ちなみにレビューと紹介記事の違いは、主観が入るか入らないかです。ウェブメディアでは紹介記事を書く機会はあまり多くありませんが、雑誌の新製品情報などは、主観を排して客観的に書くことが求められます。レビューは、それとは異なり、書き手がどう感じたかを伝えるようにしましょう。

■レビューの例
●2018.01.24|一度始めたら物語の世界にのめり込むこと間違いなし――話題のドラマチックファンタジーRPG『ORDINAL STRATA -オーディナル ストラータ』を緊急レビュー|ゲームエイト

■プロ仕様のPlayStationⓇ4コントローラー「Nacon Revolution Pro Controller」をレビュー – FPSlash

■31年の月日を積み重ねて新たに創造されたこのハイラルでは何が変わったのか?「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」レビュー – FPSlash

攻略記事作成

ゲーム攻略ライターとしてはメインのお仕事となりますが、一般的なゲームライターとしては特別な場合を除き以下の理由でおすすめできません。

①ゲームをやりこむ必要があるため、時間的コストが悪い。
②上記のように、基本的に時間がかかる割には記事単価が安い。

しかし、趣味でやりこんでいるゲームがある場合、必ずしも仕事の時間とは重複しないため、趣味で得た知見でお金も稼げるという見たかもできます。仕事で記事を作らなければいけない場合は、必ずしも自分の遊びたいゲームばかりをするわけにはいかないため、いずれにせよ、効率の悪い仕事となってしまします。また、攻略本の作成など、ある程度まとまった金額が入る場合はその限りではありません。

仕事を引き受ける場合は、時間的コストとギャラを考慮して、それが見合った額の仕事か見極めるようにしましょう。

企画記事の作成

広告がらみの案件で、ゲームに関連した記事を制作することがあります。内容はそのときのキャンペーンなどでも大きく異なりますが、基本的にはクライアントの意向に近いイメージの記事を作っていきます。

必然と要求される注文は多くなりますが、そのぶんギャラがいい仕事も多いのが特徴です。

ラフの作成(紙メディア)

ウェブメディアではほとんどありませんが、紙メディアで記事を制作する際に、ライター側でラフなどを用意しなければならないことがあります。このラフとは、基本的に見だしなどのテキスト(中身の記事は後回しの場合もあり)と、キャプチャー画像などの写真素材を並べた下書き図のようなものです。


▲ラフの一例

雑誌などの紙メディアの場合、先にレイトアウトを作成して決められた文字数に合わせて書く「先割り」と、テキストや画像などのすべての素材をデザイナーに渡して記事を作る「後割り」の2種類があります。どちらのスタイルで制作が進められるのかも、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

【コラム】自分の意見をうまく伝えるには「咀嚼力」が必要

「レビュー」であれ「コラム」であれ何かを人に伝えようとしたときに、もっと「咀嚼(そしゃく)力」が必要です。この「咀嚼力」とは、そのままの意味で、情報や内容をいったん自分の中でかみ砕いて、必要なポイントをわかりやすく紹介する力のことをさしています。そんな言葉があるかどうかはわかりませんが、自分の頭の中でふっと出てきたワードです。

「全体を通してのテーマ」と「要素」をピックアップ

たとえば本の紹介をしようとしたときに、単純に目次に並んでいるような項目を順番にあげていき「こんな本です」というのは、作業としても機械的で簡単です。でも、それで何かを伝えるのは難しいですよね? 映画やドラマなど、活字になっていないものならなおさらかもしれません。

そこで、自分の中で内容をいったんまとめ上げ、全体を通しての「テーマ」と要素をピックアップ。必要なものだけを選び、紹介していくということが必要となってくるのです。

(執筆・編集/高島おしゃむ)




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