Arduinoが2026年3月に発表した、AI・ロボティクス向け開発ボード「Arduino VENTUNO Q」の一般予約受付が、8月25日よりスタートしました。
●Arduino公式ストア「VENTUNO Q」
https://store.arduino.cc/products/ventuno-q?utm_source=chatgpt.com
3月の発表時点では価格や具体的な販売時期が明らかになっていませんでしたが、Arduino公式ストアではVAT込み298.99ユーロ、日本円で約5万5,000円前後となる価格が公開されています。
ところが8月26日に確認したところ、Arduinoのグローバル向け公式ストアでは早くも「Sold out」の表示となっています。
AIを考える頭と、機械を動かす頭を1枚に搭載
VENTUNO Qの特徴は、Arduinoが「Dual-Brain」と呼ぶ2種類のプロセッサーを1枚のボードに搭載していることです。
メイン側にはQualcommの「Dragonwing IQ8(QCS8275/IQ-8275)」を採用。オクタコアCPUやGPUに加えて、最大40 dense TOPSのAI処理能力を持つNPUを備えており、Ubuntu上でLLMやVLM、コンピュータービジョンなどをローカル実行できます。
一方で、モーターやセンサーなど時間にシビアな処理は、Arm Cortex-M33ベースの「STM32H5F5」が担当します。こちらではZephyr RTOSとArduino Coreが動作し、1ms未満のリアルタイム制御が可能です。
つまり、かなり乱暴に表現するならば、「小型AIパソコン」と「従来型Arduino」を1枚の基板に合体させたような構成です。
AIにカメラ映像を認識させて判断させつつ、その結果をすぐモーターの動きに反映するといったロボットを作る場合、Linuxマシンとマイコンを別々に用意する必要がなくなるのがVENTUNO Qの面白いところです。

16GB RAMや2.5GbEを搭載。Raspberry Pi用HATまで利用可能
メモリーは16GB LPDDR5、ストレージには64GB eMMCを搭載。M.2スロットを利用してNVMe Gen.4 SSDを追加することもできます。
ネットワーク関連ではWi-Fi 6、Bluetooth 5.3、2.5Gb Ethernetを搭載。そのほかHDMIやUSB 3.0 Type-A、USB-C、3系統のMIPI-CSIカメラ接続、CAN-FDなど、ロボティクスやエッジAI用途を意識したインターフェースが用意されています。
拡張性も少し変わっています。一般的なArduino UNO用シールドに対応しているだけではなく、40ピンヘッダーを備えており、標準的なRaspberry Pi用HATも利用可能です。
Arduino向けとRaspberry Pi向けに蓄積されてきた2つのアクセサリー環境を利用できるわけで、これもVENTUNO Qならではの強みになりそうです。

298.99ユーロで予約開始。しかしグローバルストアは「Sold out」
Arduino公式ストアで設定された価格は、VAT込み298.99ユーロ。米国向け公式ストアでは299ドルとなっています。
公式ストアでは予約商品として「4週間で配送可能」と案内されていますが、8月26日時点でグローバル向けページは「Sold out」と表示されており、そのまま注文することはできません。
実は一般予約開始以前にも、一部ユーザー向けのEarly Bird予約が行われていました。Arduinoのスタッフによると、こちらは用意されていた在庫がわずか数時間で完売したとのこと。今後追加の予約在庫を用意するとしています。
ただし、すべての地域で完全に在庫切れというわけではないようです。8月26日の確認時点では米国向けArduino Storeには299ドルで「Add to cart」が表示されており、販売状況は地域によって異なっています。
日本から買えるのか?
ArduinoはVENTUNO Qについて、Arduino StoreのほかDigiKey、Farnell、Mouser、RSなど世界各地の正規販売代理店で取り扱うとしています。
ただし、今回確認した範囲では、日本向けに初回在庫をすぐ注文できる販売ルートまでは確認できませんでした。DigiKeyには型番「ABX00181」として製品ページが作られているものの、確認時点では在庫数は0となっています。
そのため、日本から購入したい場合は、Arduino Storeの再入荷に加えて、国内向けDigiKeyやMouser、RSなどの取り扱い開始を待つのが現実的でしょう。
また、Wi-Fi 6とBluetooth 5.3を搭載しているため、日本で無線機能を使用する場合は認証についても気になるところです。
この点については、Arduino公式製品ページの適合規格一覧に日本の電波認証に関係する「MIC」がすでに記載されています。ただし、海外から直接購入する場合は、実際に届く製品の認証表示や対象型番についても確認しておいたほうが安心です。
「ArduinoでAI」の意味がかなり変わりそう
VENTUNO Qそのものは3月に発表済みで、日本国内でもすでに紹介されていました。そのため今回の注目点は新製品が発表されたことではなく、半年近くを経てようやく実際の価格が決まり、一般ユーザーが購入できる段階まで進んだことにあります。
従来のArduinoからイメージするマイコンボードとは価格も性能もかなり離れていますが、Linuxで動くAIとリアルタイムなハードウェア制御を1枚にまとめられるというコンセプトはかなりユニークです。
あとは普通に買えるようになるまで、どれぐらい待つことになるのか。Early Bird分が数時間で消えたという状況を見る限り、しばらくは入手困難な状態が続く可能性もありそうです。






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