AliExpressの部品だけでMacBook Airは作れる? 起動には成功、でも中古より高くついた

AliExpressの部品だけでMacBook Airは作れる? 起動には成功、でも中古より高くついた




AliExpressでMacBook Airの部品をひとつずつ購入し、自分で組み立てたら本当に動くのでしょうか? そんな「MacBook版・自作PC」のような実験に挑戦したのが、スマートフォンやPCの修理動画で知られるYouTubeチャンネル「Phone Repair Guru」です。

今回使用されたのは、Apple M1を搭載したMacBook Air。ロジックボードからディスプレイ、バッテリー、スピーカー、キーボード、USB-C関連の基板まで、必要なパーツをAliExpressからバラバラに集めて1台のMacBook Airを完成させています。

結論からいうと、MacBook Airはちゃんと起動しました。ただし、「安くMacBookを手に入れる」という目的では、完全に失敗だったようです。

MacBook Airを部品単位で集める

今回の実験では、できるだけ安価な部品をAliExpressで探して購入しています。小さなパーツだけでも、オーディオ基板やフレックスケーブル、トラックパッド、マイク、スピーカー、ネジなどが必要です。

さらに高価な部品として、ディスプレイ、バッテリー、キーボードを備えた筐体、そしてMacBook Airの心臓部となるロジックボードも用意しています。

ロジックボードはM1 MacBook Airから取り外されたもので、ストレージ容量は128GB。元々組み合わせられていたTouch IDモジュールもセットになっていました。

Macでは一部の部品が本体側と紐付けられているため、このTouch IDモジュールが付属していたことはかなり重要です。もっとも、AliExpressでパーツをそろえれば、すんなり1台完成するというほど簡単ではありませんでした。

「完全なネジセット」として購入した商品には必要なネジが足りず、追加注文する羽目になっています。さらに外装についても、安いものを優先して集めた結果、それぞれ微妙に色が違う状態になりました。

組み上げたのに、まったく起動しない

パーツを取り付けていき、見た目だけなら普通のMacBook Airが完成。

いよいよ電源を入れます。

ところが、何も起きません。

充電器を接続しても正常に充電されず、ロジックボードは熱を持っているにもかかわらず、MacBook Airはまったく起動しませんでした。

ひとつずつ原因を調べていったところ、犯人はオーディオ基板とロジックボードを接続する小さなフレックスケーブルだったことが判明します。

このケーブルが不良品で、システム全体をショートさせていました。

そこで交換用ケーブルを改めて注文。

新しいケーブルに交換すると、今度は無事MacBook Airが起動しました。

たった1本の小さなケーブルが原因で、PC全体がまったく動かなくなるというのも、こうした寄せ集めPCならではの怖さといえそうです。

Touch IDもカメラもスピーカーも動いた

起動後はAppleの診断機能を使い、各パーツが正常に認識されているかチェックしています。

結果は予想以上に良好でした。

Touch IDは正常に動作。スピーカー、フロントカメラ、トラックパッド、キーボード、USB-Cポートなども利用できました。

つまり、AliExpressから集めた部品だけでも、実用可能なM1 MacBook Airを組み上げること自体は可能だったわけです。

しかし、ひとつ大きな問題が残りました。

ディスプレイです。

ディスプレイは純正品ではなかった

完成したMacBook Airの画面は、通常のMacBook Airと比べてやや暗く、発色も今ひとつだったといいます。

Appleの診断機能でチェックしたところ、このディスプレイは純正Apple製として認識されず、ロジックボードとのキャリブレーションも行えませんでした。

そのためTrue Toneなども正常に利用できません。

外から見ればMacBook Airでも、中身まで完全に純正MacBook Airと同じになるわけではないということです。

AliExpressでは「MacBook用」として大量の交換部品が販売されていますが、純正品、中古部品、再生品、互換品などが混在しています。

今回の実験は、そうした部品を組み合わせたときに起こり得る問題を、かなりわかりやすく見せてくれています。

結局、いくらかかった?

そして最も気になるのが価格です。不足していた部品の追加購入や、不良だったケーブルの返金なども含めて計算した結果、完成したAliExpress製M1 MacBook Airの総額は約939.60カナダドルになりました。

日本円にすると、おおよそ10万円台です。一方、比較対象として紹介されていた整備済みM1 MacBook Airは約620カナダドル。

つまり部品から自分で組み立てるほうが、約320カナダドルも高くなってしまいました。

しかも整備済み品なら、筐体の色がバラバラになることもなく、ディスプレイも正常にキャリブレーションされている可能性が高く、何時間も故障原因を探す必要もありません。

「安くMacBookを手に入れる方法」として考えれば、普通に完成品を買ったほうが圧倒的に合理的です。

MacBookも「自作PC」のように作れる。ただし……

それでも、この実験が面白いのは「現在ではMacBook Airを構成するパーツのほぼすべてを、一般ユーザーが個別に入手できる」という点です。

Windowsの自作PCとは事情が異なるものの、ロジックボード、ディスプレイ、バッテリー、筐体、スピーカーなどをバラバラに集め、それらを組み合わせて1台のMacBookとして起動させることが実際にできました。

一方で、部品の品質にはばらつきがあり、不良品がひとつ混ざっただけで起動しなくなることもあります。また、ディスプレイのキャリブレーションやTouch IDのように、Apple独自の部品認証やペアリングが関係する部分もあります。

さらにMacBook Airにはリチウムイオンバッテリーが搭載されているため、分解や組み立てには安全上のリスクもあります。Apple自身もM1 MacBook Airの修理マニュアルで、バッテリー作業について専用の安全手順を用意しています。

そのため、今回の動画は「AliExpressで部品を買えば安くMacBookを自作できる」というハウツーというよりも、

「MacBookを完全にバラバラの状態から作ったら、本当に1台のMacとして動くのか?」

という実験として見るのがよさそうです。結果は「動く。でも普通に整備済み品を買ったほうが安い」。かなり身も蓋もない結論ですが、そこまで含めて面白い実験になっています。




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