ポケモンたちが、本当に目の前に存在している――。
『ウォレスとグルミット』や『ひつじのショーン』で知られる英国のアニメーションスタジオAardman(アードマン)が、The Pokémon Company Internationalと共同制作している新作ストップモーションシリーズ『ポケモンテイルズ「ネギガナイトとピチューの冒険」』。2026年8月28日に開催されたPokémon XPでは、新たなティザー映像とともに、作品で実際に使用されるパペットや制作舞台裏が公開されました。
●Aardman公式・2026年8月28日の制作舞台裏発表
https://www.aardman.com/latest-news/2026/august/exclusive-teaser-trailer-revealed-for-pokemon-tales-the-misadventures-of-sirfetch-d-pichu/
2027年にDisney+で配信されること自体はすでに国内でも広く報じられていますが、今回とくに興味深いのは、その裏側です。
CGでキャラクターを動かしているのではありません。ネギガナイトやピチューの人形を実際に作り、人間の手で少しずつポーズを変えながら、1コマずつ撮影しているのです。
1週間かけて完成する映像は平均約13.5秒
Pokémon XPで行われた「Behind the Scenes with Aardman」パネルでは、Aardmanの制作チームが登壇し、作品の制作工程やパペットを紹介。Aardman公式も、新たな制作情報や舞台裏写真、実物パペットを使ったデモンストレーションが披露されたことを伝えています。
さらに、現地パネルを取材した巴哈姆特GNNの報道によると、本作の制作には約262人が関わっているとのこと。
1エピソードが完成するまでの全工程は約110週間に及び、そのうち実際にセット上でストップモーション撮影を行う期間だけでも約6週間。アニメーター1人が1週間に完成させられる映像は、平均約13.5秒だと紹介されています。
ストップモーションとは、人形などの物体を少しずつ動かして1コマずつ撮影し、それを連続して再生することで動いているように見せるアニメーション技法です。
つまり、私たちが何気なく見ている十数秒の映像の裏側で、アニメーターは何日もパペットと向き合い続けていることになります。
なお、約262人、約110週間、週平均約13.5秒といった数字はAardman公式記事に掲載されたものではなく、現地パネルを取材した巴哈姆特GNNによる報道です。

ネギガナイトだけで12~13体、ピチューは13体
さらに驚かされるのが、撮影用に作られているパペットの数です。
同じく現地パネルの報道によれば、ネギガナイトは約12~13体、ピチューは13体ものパペットが制作されています。
画面に登場するキャラクターはひとりずつに見えても、撮影現場には同じキャラクターのパペットが何体も存在しているわけです。
しかも、単に人形を置いて撮影するだけではありません。
走る、飛ぶ、振り向く、表情を変えるといった動きを表現するため、パペットの姿勢をわずかに調整しては撮影し、さらに調整して撮影するという作業を延々と繰り返します。
ポケモンのように動きの速いキャラクターをストップモーションで表現するとなれば、その難易度はさらに上がります。

ピチューの「電気」までアナログで表現
パネルでは、ピチューが高速で移動するときの電気を表現する方法も紹介されたといいます。
そこで使われていたもののひとつが透明フィルムです。
映像上では特殊なエフェクトに見える部分も、撮影現場では透明な素材などを実物として配置し、パペットと一緒に1コマずつ撮影することがあります。
デジタル全盛の時代だからこそ、こうした「実物をどう見せれば、その現象らしく見えるのか」というアナログな工夫は面白いところです。
粘土や樹脂、布、透明素材など、現実に存在するものをカメラの前に配置して、架空のポケモン世界を作り上げていく。Aardman作品独特の質感がどこから生まれているのかがよく分かります。
『ウォレスとグルミット』の技法で描かれるガラル地方
『ポケモンテイルズ「ネギガナイトとピチューの冒険」』は、AardmanとThe Pokémon Company Internationalによる正式なコラボレーション作品です。
舞台となるのは『ポケットモンスター ソード・シールド』でもおなじみのガラル地方。ネギガナイトとピチューを中心に、ポケモンたちの視点から物語が描かれます。
作品自体は今回初めて発表されたものではなく、Aardmanは2025年7月にタイトルや概要を公開済みです。
今回のPokémon XPでは、新たなティザー映像に加えて、完成映像だけではなかなか見ることのできないパペットやセット、制作工程まで明らかになったことが大きなポイントといえるでしょう。
普段テレビや映画で目にするストップモーション作品も、撮影現場に視点を移せば、そこにあるのは小さな人形とセット、そしてそれを何度も手で動かすアニメーターたちです。
ポケモンが「キャラクター」ではなく、本当に手で触れられる「物体」として作られている。
それだけでも、『ポケモンテイルズ「ネギガナイトとピチューの冒険」』を見る楽しみがひとつ増えそうです。
本作はDisney+で2027年に世界独占配信予定。日本でも2027年の配信が発表されています。具体的な配信開始日や料金、音声・字幕などの詳細については、現時点では発表されていません。



















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