L’Atitude 52°Nが、旅行での利用を強く意識したAIスマートグラス「MILAN」の販売を開始しました。
●L’Atitude 52°N「MILAN」公式製品ページ
https://www.latitude52n.com/products/milan-smart-glasses
一見すると少し丸みを帯びた普通のパント型サングラスですが、フレームには12MPカメラやオープンイヤースピーカー、5基のマイク、AI機能まで詰め込まれています。
12MPカメラを普通の眼鏡のようなフレームに搭載
MILANを手掛けるL’Atitude 52°Nは、ベルリンを拠点とするスマートアイウェアブランドです。
MILANには107度の超広角撮影に対応した12MPのSony IMX681 CMOSセンサーを搭載。静止画だけではなく、1080p/30fpsの動画を最長3分まで撮影できます。縦位置と横位置の両方に対応しており、本体には写真や動画を保存するための32GBストレージも用意されています。
耳を塞がないデュアルオープンイヤースピーカーに加え、AIノイズリダクション対応の5マイクアレイも搭載。Wi-Fi 6とBluetooth 5.4 LEに対応しています。
重量は約50~51g。バッテリー容量は200mAhで、1回の充電で最大約6時間使用でき、付属の充電ケースではさらに8~10回ほどフル充電できます。20分で約70%まで回復する急速充電にも対応しています。
カメラで見た建物をGeminiが解説してくれる
MILANが普通のカメラ付きスマートグラスと少し違うのが、「旅行」をひとつの大きな用途として打ち出しているところです。
搭載されているAIアシスタント「Goya AI」はGoogle Geminiをベースにしており、「Hey Goya」と呼びかけることで音声から操作できます。
なかでもユニークなのが「AI Tour Guide」です。カメラを通してランドマークや美術館の展示物などを認識し、その対象についてAIが解説してくれます。つまり旅先でスマートフォンを取り出して検索しなくても、見ているものについてその場で聞けるというわけです。
リアルタイム翻訳も利用できますが、対応しているのは英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語の5言語。残念ながら、現在のところ日本語は含まれていません。
「旅行向け」を大きく掲げた製品だけに、日本のユーザーにとってはここがかなり惜しいところです。

Ray-Ban Metaと似ているようで、狙っているところは少し違う
カメラ付きスマートグラスと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やはりRay-Ban Metaでしょう。
MILANも12MPカメラ、32GBストレージ、オープンイヤーオーディオ、AIによる画像認識など、基本的な構成はかなり似ています。
一方、現在のRay-Ban Meta Gen 2は最大3K/30fpsの動画撮影と最大8時間のバッテリー駆動に対応しており、1080p/30fps、最大6時間のMILANは単純なスペック競争では不利です。Ray-Ban Meta Gen 2は2026年5月から日本でも正式販売されています。
そのためMILANの面白さはカメラ性能そのものよりも、クラシカルなパント型フレームと、観光ガイドにフォーカスしたGoya AIを組み合わせているところにあるといえそうです。

発売までには紆余曲折も。AIの有料化方針も撤回
実はL’Atitude 52°Nのスマートグラスは、かなりすんなり発売された製品というわけではありません。
同社は2025年にKickstarterで40万ドル以上を集めましたが、当初2026年2月としていた出荷予定は延期されました。4月にWIREDが取材した時点でも、MILANは6月7日の発送予定と案内されていました。
さらに当時は、Goya AIの主要機能を利用できるのは購入から12カ月間で、その後は有料サブスクリプションへの加入が必要になるという方針でした。しかも、その料金自体がまだ決まっていない状態でした。

しかし、この料金方針は現在では変更されています。
公式サイトの最新FAQでは、BERLINとMILANを含む第1世代Departure Collectionについて、Goya AIのLive Translation、Voice Activation、AI Tour Guide、AI Image Recognitionなどを現在はサブスクリプションなし、期限なしで利用可能と明記しています。以前案内していた12カ月の試用期間についても「現在は適用されない」としています。
ただし「現在(currently)」という表現が繰り返し使われており、将来的に変更する場合は事前に告知するとしているため、永久無料を保証しているわけではない点には注意したいところです。
価格は399ドルから。ただし日本への直接発送はなし
MILANは「Obsidian」と「Olive」の2色をラインナップ。標準レンズ仕様は399ドル(約6万3600円)、調光レンズ仕様は449ドル(約7万1600円)です。
Yanko Designによると8月25日から販売が開始されており、8月27日時点の公式ストアではObsidianが「5~7営業日」、Oliveが「9月6日から発送」と表示されています。単なるコンセプトモデルやクラウドファンディング段階ではなく、少なくとも販売フェーズには入ったとみてよさそうです。

ただし日本から購入するには大きな壁があります。
公式Shipping Policyでは現在、配送先をEU、英国、米国の指定地域に限定しており、日本への直接発送には対応していません。
また、本体はWi-Fi 6とBluetooth 5.4を搭載した無線機器ですが、公式サイトでは日本向けの販売や日本の技術基準への適合状況は確認できません。転送サービスなどを利用して個人輸入を検討する場合でも、日本国内での使用可否については事前に確認しておいたほうがいいでしょう。
撮影についても注意が必要です。MILANは撮影時にテンプル部分のステータスLEDが点灯し、このLEDを塞ぐと撮影が停止する仕組みになっています。写真や動画は本体内に保存され、スマートフォンへの同期後に自動削除される設計です。
とはいえ、眼鏡を掛けているだけでは周囲からカメラの存在に気付かれにくいため、店舗や美術館などの撮影禁止場所はもちろん、人物を撮影する際のプライバシーにもこれまで以上に配慮する必要がありそうです。
日本語翻訳にも日本への発送にも未対応という意味では、現状のMILANは日本人旅行者にとって少しハードルの高い製品です。
それでも「目の前にあるものを撮る」「それが何なのかAIに聞く」「解説を耳から聞く」という一連の操作を、普通の眼鏡に近いデザインの中だけで完結させようとしているところは面白いポイントです。
日本語対応と日本正式販売が実現すれば、旅行用ガジェットとして一気に身近な存在になるかもしれません。
via.Yanko Design




















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