『天気の子』が興収100億円を突破! その理由は唯一スクリーンで見たいと思わせる作風にあり




新海誠監督の最新作『天気の子』が、公開34日間で興行収益100億円を突破したことが明らかになりました。ちなみに日本映画で興行収益100億円を突破したのは、同じく新海誠監督による『君の名は。』以来、3年ぶりとなるそうです。

私も映画が公開された7月19日の朝一で、TOHOシネマズ 流山おおたかの森で鑑賞しました。全館朝9時ジャスト公開だたっためか、映画館がオープンしておらず、珍しく長い列ができていました。

▲何に並んでいるのかと思ったら・・・・・・全員が『天気の子』というわけではなかったようです(笑)

『君の名は。』とのテンポ感の違い

映画を観ながら感じたのは、『君の名は。』と比較してテンポがゆっくり目だなということでした。これが『君の名は。』だったら、今頃オープニングが流れてあれぐらいだな・・・・・・というところで、『天気の子』ではまだまだ主題に入って行かないという感じで。

どこで目にしたのかは忘れましたが、そうしたことは新海誠監督自体も意識していたそうで筆者が見ていたような『君の名は。』とのタイミングと比較しながら『天気の子』の展開も組み立てられていったようです。

見終わったあとの素直な感想は・・・・・・『君の名は。』ほど感動する場面や泣ける場面はなかったけど、映像の美しさやRADWIMPSの音楽の素晴らしさは前作と引けを取らない完成度で、むしろこっちのほうが好きという人も出てきそうだ~という印象でした。実際のところ、1度見ただけではわからず、何度か見るうちにどんどん好きになっていく「スルメ的」な作品の香りが漂っていたのです。

その証拠というわけではないですが、2度目の映画の鑑賞こそまだしていないものの、サウンドトラックや小説、ついでに『キャッチー・イン・ザ・ライ』の小説なども合わせて買ってしまいました。う~ん、新海誠監督、恐ろしや(笑)。

▲珍しく聖地巡りまでしてしまった! この代々木会館は、2019年8月1日より取り壊し工事が開始されました。このときは、数名写真を撮っている人を見かけたほか、写真を撮っている人を見てニヤリとしている人もおり、愉快な空間になっていました。

インドでも10月11日より公開が決定!

『君の名は。』で一気にその名を知らしめた感のある新海誠監督ですが、その頃から海外でも多くの人たちが感動したという声がもれ伝わっていました。ちなみに筆者は未だに米国アマゾンの『君の名は。』のユーザーレビューをウォッチし続けているのですが、2017年12月11日の時点で192程しかなかった投稿も2019年8月23日の午前0時(日本時間)を過ぎたあたりで、なんと1176件も投稿が行われております。しかも、そのほとんどが★5でポジティブな意見ばかりで、これまた驚かされます。

▲熱いレビューが多く、ついつい見に行ってしまう。

『君の名は。』のときは、ちょうど海外公開が始まったあたりから、徐々に海賊版が出回り始めました。なかには無理矢理吹き替え版を付けたものなんていうのも見かけました。今回の『天気の子』も海外展開がスタートしており、海賊版が出回るのもそう遠い未来ではないかもしれません。

しかし、この海賊版やあるいはDVDやBlu-ray、ストリーミングなどで『君の名は。』を観て心を打たれた人の多くが感じたことは、「この映画は大きなスクリーンで観ないとダメだ」ということだったのではないでしょうか?

日本映画はほとんど公開されず、海賊版がはびこっているインドでは、この『天気の子』を正規にインドで上映して欲しいという署名が広がり、10月11日から20の都市で公開されることが決定しました。

こちらの例に限らず単に作品を楽しむというだけならば、海賊版でも大差は無いのかもしれません。実際のところ、他の作品ならばそれで済んでしまうケースがほとんどだと思います。しかし、お金を出してでも「映画館で観たいと思わせる力」を持っていることこそが、新海誠監督のすごいところなのかもしれません。

(高島おしゃむ)




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