クエンティ・タランティーノ監督の9本目となる新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を朝一で観てきました! いやあ、これはいい意味で裏切られましたね。そして、いつものタランティーノ節もたっぷり詰まっていて、大変面白かったでございます。
本作の主演はレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットという、ハリウッドを代表するふたりのスターです。意外なことに初共演というふたりですが、このコンビがなんとも愛らしいんですよね~。
ディカプリオが演じるのは、かつて大人気だった西部劇の俳優リック・ダルトン。今は落ち目になり、若手俳優のダシに悪役としてゲスト出演するという日々。そうした状況から酒の量が増えて台詞を忘れてしまい、自分のふがいなさから自己嫌悪に陥るという人間味溢れるキャラクターになっています。
リックは撮影の合間、まるで自らの人生をそのまま投影させたかのような小説を読み涙を流します。その姿が、なんだか筆者が今置かれているような状況に近く、共感してしまいました。
そして、そのリックを車の送り迎えからアンテナ修理まで含め、心身共にサポートしているのが、ブラピが演じるスタントマンのクリフ・ブースです。リックが一線から退いていく従い、かれのスタントマンとしての仕事も減っていきます。しかし、もともとベトナム戦争の経験者という経歴を持っていることから、ちょっとやそっとのことではひるみません。
ちなみに劇中では、なんとブルース・リー(マイク・モー)とのやりとりが発展し、力比べを行うというシーンも用意されています。若干高慢に描かれている本作のブルース・リーですが、タランティーノは生前の映像や発言などを研究し、実際にあんな感じだったであろうと語っています。
ブラピはこれ以外にもアクションシーンが多く、それがラストに近づくにつれてふんだんに活かされていきます。しかい、そこはスタントマン。おいしいところは・・・・・・ということで、ぜひ劇場で詳細はチェックして見てください(笑)。
実際の事件がベースになっておりドキドキ感が増していく
本作には実在した人物も多数登場します。その中のひとりが、女優シャロン・テートです。シャロンはご存じの方も多いように、1969年8月9日にチャールズ・マンソン率いるカルト集団の手により刺殺されています。劇中ではシャロンのドラマはほとんど描かれませんが、自分が出演した映画を観るために映画館に足を運んだり、友人たちとの楽しいひとときなどが映し出され、刻々とそのときに向かって時間が進んでいくことを予感させます。
この物語が始まるのは1969年2月からですが、60年代のロックは数多く聴いてきており、当時のヒッピー文化などはなんとなくですがイメージすることができます。夕暮れから夜になり、あちらこちらの店にネオンの明かりがともっていくというなんでもないようなシーンでも、きっと当時のタランティーノが実際に目にした光景を映像化したんだろうな~と、勝手に想像して楽しんでいました。
タイトルにある「ワンス・アポン・ア・タイム」は、直訳すると「昔々」となります。つまり、おとぎ話の枕詞に使われるよなイメージなのでしょうか。リアルな現実ではシャロンは悲惨な死を遂げますが、このおとぎ話では主人公も別人になるなどリアルと空想の世界が逆転した形で描かれています。その結果、思いも寄らない結末を迎えます。
いい映画と感じる作品の要素に、観ている最中、この物語は一体どこに向かってどうやって終わらせるのかまったくできないというものが含まれています。本作も終盤にさしかかった時点でそんな感じだったのですが、まさままさかの展開に、思わず「タランティーノ~、やっちゃってますねぇ!!」と思わず口から出そうになってしまいました。
エンディングでちらほら会場を後にする人も見かけましたが、会場に残った人たちも、思わず爆笑するなどここも絶対に見逃せないポイントです。鑑賞後は、これまで自分の中に溜まっていた鬱憤が晴れ、久々にすっきりした気分を味わうことができました。
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