【ネタバレあり】酷評だらけの『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』はなぜこんな映画になってしまったのか?




映画公開初日の12月15日。待ちに待ったシリーズ8作目、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を映画館で観てきました。前作よりディズニーに製作が映り、賛否両論だった『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』ですが、新たな主役を演じるレイやフィン、カイロ・レンというキャラクターたちが、今後どのような物語を演じていくのだろうか? という期待を持たせる内容でした。

しかし、今作はいったいどうしてしまったのでしょうか?

見終わった後の感想は、「あまり面白いとは言えないし、人にもあまりオススメできないな」という感じでした。たぶん、間に様々な展開が盛り込まれつつも、あまりスッキリしない終わり方が多かったり、キャラクターの描き方があまりにも稚拙で浅すぎるというところからそう感じたのだと思います。

通常、つまらない映画を観た後はその場で怒り心頭となることが多いのですが、今作は後からじわじわとその感情が沸き起こってきました。そこで日本のYahooのユーザーレビューを見てみると、やはり酷評している人がかなり多くいるのが目に入ります。なかでも海外のIMDBは辛辣なレビューばかりとなっていました。

彼らの意見はどれもごもっともで、うなずけるものばかり。ディズニーは外部からの意見をまったく聞かないらしいですが、今後世界中で酷評の嵐が巻き起こっていくかもしれません。

こちらでは、レビューに書かれていたものの中からいくつかのポイントをご紹介したいと思います。


▲ライムスター宇多丸氏も酷評。

ストーリーがひどい

・レイの出生の秘密が「両親がただの酒飲みで売られた」で終わり。前作の意味深な記憶や、ルークの呼びなどに何の意味もなかった。
・演出が答えをちらつかせておいて、違いました~の連続。
・そのため、フィンとローズ、ポー、DJなどが登場するシーンはただの蛇足になっており、しかもかなりの映画の尺を取っている。
・基本的にレジスタンス側の行動が馬鹿すぎて、最終的に穴に追いつめられる。
・カイロ・レンはなぜダース・ベイダーに憧れたのか、まったく説明無し。
・レジスタンスは残り数人? 大物もほとんど消え、特に次に繋げるストーリーもなく、どうなるエピソード9。
・ハイパードライブで突撃という反則技。ほかのシリーズでも最初からそうしとけという話になってしまう。
・無重力の宇宙空間で、上から空爆?
・結局のところ、ルークはレイに何も教えずに死んでしまい、レイは自主練で勝手に強くなっただけだった。
・なんでただの整備士のローズが戦闘機乗ってるの?
・レイがいつのまにか帰還してミレニアム・ファルコン号に乗ってた。
・ラストでよく分からないガキが棒を振って、何かを匂わせる終わり。→特になんの感情もないため、押しつけられてる感満載。
・フォースが選ばれしものが持っている力から、誰でも持ってるものに?
・ストーリー展開的には基地を引っ越す間に、ちょっとごたごたあっただけだった。
・残り燃料の話から、劇中では1日も経ってない? 数時間の間に全員人格変わりすぎ。
・フォースは石を動かすものじゃないといってたが、後のシーンで思いっきり石のみを動かしてた。
・コード破りの達人を探しに胸にバラを付けたやつを探しにいったが、そいつ自体とはすれ違い、たまたま牢屋に一緒にいたDJ(ベニチオ・デル・トロ)で代役を済ませてしまう。そいつ自体は、結局元々探してたやつとは何の関係もなかった。そして、その作戦自体は失敗して、結局ストーリー的にはなんの意味もなかった。
・わざわざ敵から攻撃されないためにキャノン砲を壊したのだが、タイファイターが出てきて味方のほとんどが壊滅状態に。・・・・・・なんの作戦?

キャラクターに魅力がない

・基本的に全員弱い。
・ファースト・オーダー側のキャラクターに魅力がない。
・誰も成長しない。
・ルークの性格が、旧作からまったくの別人に。
・カイロ・レンがダークサイドに落ちた理由が、ルークに殺されかけたから?
・チャイナマネーが画面に映ってるようにしか見えない、ローズというキャラクター(中国人ではないようだが、唐突すぎる登場でとってつけたようなシーンが長々ある)。
・映画の途中で、突然天童よしみが出てきた。
・前作とのシーンを劇中で連続で見せられているせいもあるが、レイが突然ふっくらしたように見える。
・スノーク雑魚死。なんのために登場させたボスキャラだったのか?
・ポーがただのバカキャラになった。
・キャプテン・ファズマはちょっと出てきて、やっぱり雑魚死。
・ボーグというキャラクターは、ただ可愛いだけでなんの意味もない。

フォースの解釈の違い

・フォースの力のインフレ化がすごい。魔法になっちゃった。
・宇宙空間に投げ出されたレイア姫が、謎のスペースウォークで帰還。
・ルークが別の惑星で遠隔で参戦?
・レイとレンのハリー・ポッターかと思わされるような、遠隔会話。

その他

・黒人とアジア人の組み合わせ、あるいは女性中心のリーダー陣など、世界観にそぐわないアピールが鼻につく。
・笑えないギャグが多い。上半身裸のレンに向かって、レイが「何か着る物ないの?」等。
・エンドロール後、「妖怪ウォッチ観た方が面白かったんじゃ」という子供の声が聞こえてきた。
・面白いと思おうとしたが無理だった。というか、なんでこっちが面白いと思わなきゃいけないんだ。

良かった点

・ヨーダがエピソード5あたりのマペット風の動きだった。
・エンドロールに、今作が遺作となったキャリー・フィッシャーへの追悼分があった。

誰が『スター・ウォーズ』を殺したのか?

基本的に、キャラクターの成長がほとんどせずにストーリー的進展もなし。旧作のキャラクターは今後ほとんど登場しなそうなため、ある意味新たな一歩を踏み出した作品となったともいえますが、次の作品へとつながるような期待感までも萎んでしまった感じです。

そもそもそうなってしまった原因はどこにあるのでしょうか? やはり一番はシリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスの手を離れて、ディズニー傘下の作品になったというところでしょう。実際にはわからないものの、作品の節々から脚本への影響など、そうした印象がどことなく垣間見えてきます。前作のJ・J・エイブラムスは、シリーズ特有のカット割りなど、こだわった絵作りで『スター・ウォーズ』に対するリスペクトが観る側にも伝わってきました。しかし、今回監督を務めたライアン・ジョンソンにはそうした部分は全く感じられませんでした(ちなみに、脚本を担当したのも同氏)。

場当たり的に作られていると感じるシナリオ

前作でルークが登場したのは、新世代のスターであるレイにバトンを引き継ぐためだと思われましたが、今作ではそれが行われずに終わってしまっています。その時点で、次回作で何を期待するのか、着地点が見えなくなったと言えます。単発の作品ならそれでもよいですが、少なくともシリーズものの描き方としては、やはりキャラクターの造形が雑すぎるといわざるをえません。

そこでふと思ったのは、エピソード7を始める前に、残りの3話でキャラクターをどのように成長させてどこにゴールを向かわすのかというのを、もしかして決めていなかったのではないのか? というところ。前作で広げた風呂敷だが、そのしまい方も雑になっており、意味のないシナリオが多数詰め込まれています。

最終的に出来上がってきた作品は、『スター・ウォーズ』という作品以前に、小学生以下の子供向けに作られたような安っぽいものになってしまいました。

『スター・ウォーズ』というのは大きなフランチャイズで、映画同様グッズもかなりの売り上げがあります。それはひとえに、作品を宗教のように信仰しているファンが数多くいるからです。今作はそんな彼らの期待を大きく裏切る作品となってしまいました。はたして、次回作でこの大きくダークサイドに陥ってしまったシリーズを挽回することができるのか、J・J・エイブラムスの腕の見せ所となりそうです。




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


Shares